PR
身近な統計

出生数の少ない、多い地域の特徴とは?出生率のカギは沖縄にあり!?

身近な統計
スポンサーリンク

この記事は、こんな方におすすめです。
  • 日本の出生数の減少が気になる~という方
  • 相関分析に興味のある方
  • 大人になっても小学生の夏休みの統計の宿題が好きな方
スポンサーリンク

はじめに

ご訪問いただきありがとうございます。本記事では日本の出生数を政府統計のデータから相関分析をおこなって出生数現象の歯止めになるヒントを探っていきたいと思います。そこまでたいそうなものではありませんが、出生数に関係することって何かな?という素朴な疑問に向き合っていこうと思い、データを分析してみました。この分析を通して相関分析が身近に感じていただけたら幸いです。

これからの日本を考えるとちょっと心配ですね、なんとかならないのかな?

スポンサーリンク

出生数の現状

「出生数」

下のグラフは、厚生労働省が発表している、出生数の推移グラフです。年々減少を続けていますね。テレビなどのメディアでよく言われている通り、少子化になかなか歯止めがかかっていないことがわかります。そこには何が要因として考えられるのでしょうか。政府統計のe-statから人口統計と家計調査のデータから要因がみえてくるでしょうか。さっそくみていきましょう。少子化の歯止めの一助になるかどうかわかりませんが、歯止めのヒントになれば幸いです。

厚生労働省から 出生数の推移グラフ
出典:厚生労働省

スポンサーリンク

出生数が”少ない”、”多い”地域の特徴とは?

出生数が少ない地域の特徴

  • 魚介類の消費が多い
  • 持ち家が多い
  • 死亡率が高い

出生数が多い地域の特徴

  • 結婚している人が多い
  • 家賃や地代を支払っている人が多い
  • ボーナス一括、リボ払いが多い

なんとなく、並べた項目だけを並べてみると出生数の少ない地域は年齢層が高めで、すでに子育てを終えた世代のような印象をもちますね。一方で出生数の多い地域の特徴をみると、若い世代が多い地域のようにも思えます。それではデータをみながら推察していきましょう。

データの見方

この結果をみてどのように感じるでしょうか。なんとなく、そう言われればそうかも?といった見方や、なんのこっちゃよくわからない、という感じではないでしょうか。この結果は、政府統計「e-Stat」から2015年の家計調査と社会人口統計データにもとづいてExcel、Pythonを用いてデータの相関みて推察をおこなったものです。以下にサイトリンクを付けておきますのでご興味のある方はのぞいてみてください。

(e-Stat 社会、人口統計体系) 2015年

データ表示 | 市区町村データ | 社会・人口統計体系 | 地域から探す | 政府統計の総合窓口
「統計でみる都道府県・市区町村のすがた(社会・人口統計体系)」で整備された各種統計データ(人口・世帯、自然環境、経済基盤、行政基盤、教育、労働、居住、健康・医療、福祉・社会保障など)から、地域・項目を抽出した統計表表示、グラフ表示、ダウンロード等を行なうことが出来ます。

(e-Stat 家計調査)  2015年

家計調査 家計収支編 二人以上の世帯用途分類 001 用途分類(総数) | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口
家計調査は、統計理論に基づき選定された全国約9千世帯を対象として、家計の収入・支出、貯蓄・負債などを毎月調査しています。 家計調査の結果は、我が国の景気動向の把握、生活保護基準の検討などの基礎資料として利用のほか、地方公共団体、民間の会社などでも利用されています。 二人以上の世帯の結果は、主に、地域・世帯属性ごとに1世...
データをみる上での注意点

あくまでもデータ上の相関関係からの推定したものです。出生数とはそんな単純なものではなく様々な要因が絡まっていることは重々承知の上ではございますが、ひとつの見方としてこんな見方もあるなぁといった気持ちであたたかくみていただくとうれしいです。

出生は人口1,000人に対する出生数を出生割合としています。また主要都市部、市区町村の人口データ、家計調査から得られるデータと出生割合の相関関係を確認してその強弱から、関係性をみています。

相関関係

相関係数は、正と負の方向と-1~1までの強さによって2つのデータ群の関係性をあらわします。相関係数と相関関係の強弱を下表にあらわします。数字が大きいほど関係性が強く、マイナスであれば片方が増えると、もう一方は減るといった負の相関、プラスであれば片方が増えれば、もう一方も増える正の相関をあらわします。

相関係数相関関係
0~0.3未満ほぼ無関係
0.3~0.5未満非常に弱い相関
0.5~0.7未満相関がある
0.7~0.9未満強い相関
0.9以上非常に強い相関

それでは、統計的に出生数の多い、少ない地域のそれぞれの特徴をみていきましょう。

出生数の多い地域の特徴

負の相関で-0.4以下の項目を集計して、表とヒートマップ化したものです。いずれの項目も-0.4~0.6の範囲にあり「相関がある」といえます。マイナスですので負の相関となりますから、以下の項目が増えると、出生割合は減るという見方になります。

項  目相関係数
生鮮魚介【円】-0.42
魚介類【円】-0.56
塩干魚介【円】-0.57
持家率【%】-0.53
社会人口.死亡割合【人/1000人】-0.55
出生割合と各項目の相関関係をヒートマップ化した図

魚介類の消費が多い

魚屋さんの画像

下の3つのグラフは魚介関係の消費と出生割合の散布図です。相関係数はそれぞれ魚介類で「-0.56」、生鮮魚介で「-0.42」、塩干魚介で「-0.57」となっています。魚介類の消費が出生に影響を与えるとは考えにくいので、魚介類を好む年配の世代が多いのではと推測されます。それぞれの消費の多い地域は魚介類では「富山市」、生鮮魚介では「神戸市」、塩干魚介では「盛岡市」でした。魚介類の消費と年齢の相関をみると下表のようにやはり正の相関がみられます。したがって、魚介類の消費の多い地域は、年齢層が高く子供を産む世代が少ないといえますね。

 世帯主の年齢【歳】魚介類【円】生鮮魚介【円】塩干魚介【円】
世帯主の年齢【歳】1
魚介類【円】0.6859640071
生鮮魚介【円】0.5922240340.9244587531
塩干魚介【円】0.570278830.7964881870.5554970311
出生割合と魚介類、生鮮魚介、塩干魚介の消費の散布図

持ち家が多い

家の模型と土地の画像

下のグラフは「持ち家率」と出生割合の散布図です。相関係数は「-0.53」となっています。ここでは持ち家を持つ世代は年齢層が高く、出生数が低い傾向にあるのでは?と仮定し、持ち家率と世帯主の年齢の相関係数を確認したところ、「0.37」程度とあまり相関はみられませんでした。(表1参照)次に、持ち家があることで、ローンの返済によって出産を控えているのでは?と仮定し、ローンと持ち家率の相関をみてみた(表2参照)。すると「0.58」と、ある程度の相関がみられた。つまり、持ち家がありローンがあることで出産を控えている可能性はありそうですね。将来のことを考えると金銭的な不安があるのかもしれません。

持家率と出生割合の散布図
 世帯主の年齢【歳】持家率【%】
世帯主の年齢【歳】1
持家率【%】0.3665890941
表1
 持家率【%】土地家屋借金返済【円】
持家率【%】1
土地家屋借金返済【円】0.5753947771
表2

死亡率が高い

遺影の画像

下のグラフ1は「死亡割合」と出生割合の散布図です。相関係数は「-0.55」となっています。

死亡割合と出生割合の散布図
グラフ1

更に、市区町村別のデータで相関を確認すると、相関係数は「-0.68」と同様の結果になっています。

市区町村別の死亡割合と出生割合の散布図
グラフ2

しかし、市区町村別の死亡者数と出生数をみると相関係数が「0.97」と高い正の相関がみられました。(グラフ3参照)これは何を示しているのでしょうか。自然増減などで、ある一定の割合で死亡者数と出生数は正の相関はみられるが、人口に対する割合でみると死亡者数の方が出生数を上回っている。死亡割合の高い都市では高齢化が進み少子化となっているあらわれと考えられますね。

市区町村別の死亡者数と出生数の散布図
グラフ3

出生数の高い地域の特徴

正の相関で0.4以上の項目を集計して、表とヒートマップ化したものです。いずれの項目も0.4~0.7の範囲で「非常に弱い相関~相関がある」といえます。プラスですので正の相関となりますから、以下の項目が増えると、出生割合も増えるという見方になります。

項  目相関係数
社会人口.婚姻割合【組/1000人】0.65
家賃地代【円】0.53
塩家賃地代を支払っている世帯の割合【%】0.51
実支出以外の支払のその他【円】0.43
身の回り用品【円】0.43
出生割合と各項目の正の相関関係をあらわしたヒートマップ

結婚している人が多い

結婚式の画像

下のグラフは、「婚姻割合 組/1,000人」と出生割合の散布図です。相関係数は「0.65」と高めです。
結婚する人が多ければ、赤ちゃんが多い。普通に考えれば当然の結果ですよね。

「婚姻割合 組/1,000人」と出生割合の散布図

家賃や地代を支払っている人が多い

家の模型と土地の画像

下の左のグラフは、「家賃地代」と出生割合の散布図で、相関係数は「0.53」、右のグラフは、「家賃・地代を支払っている世帯の割合」と出生割合の散布図で、相関係数は「0.51」です。ここでは、家賃や地代を払っている世代は若い世代が多く、出生数がそれだけ高くなっているものと推察されます。

左のグラフは家賃地代と出生割合の散布図、右のグラフは家賃、地代を払っている世帯の割合と出生割合の散布図です。

ボーナス一括、リボ払いが多い

ローンで困っている女性の画像

下のグラフは「実支出以外の支払いその他」と出生割合の散布図です。相関係数は「0.43」でした。
結婚後は、何かと物入りでしょうから、ボーナス払いやリボ払いが多くなっているのでしょうか。

「実支出以外の支払いその他」と出生割合の散布図

全国の出生数 都市別、市区町村別 ランキング

ここからは、全国の1,000人当たりの出生数が多い順または少ない順でランキング形式でまとめています。

TOP3は、那覇市、川崎市、福岡市。
那覇市は、若い人が多く、家賃地代が高く、ボーナス、リボ払いが多い都市でしたのでいずれの特徴も兼ね備えていますね。離婚についても同様に分析をおこない記事にまとめていますのでご興味がございましたらのぞいてみてください。

都市別の出生割合上位10都市のグラフ

市区町村別でみると、沖縄勢がTOP3を占めていますね。

市町村別の出生割合上位10のグラフ

一方で、出生割合の少ないい都市は、秋田市、青森市、奈良市でした。
この3都市に共通にいえることは結婚割合が少ないということです。結婚についても同様の分析をした結果を下記のブログ記事にまとめていますのでご興味がございましたらのぞいてみてください。結婚の割合少ない都市、下位10都市にもランクインしています。

都市別の出生割合下位10都市のグラフ

市区町村別でみると、大阪府 豊能町、茨城県 利根町、静岡県 熱海市でした。

市区町村別の出生割合下位10のグラフ

まとめ

 最後まで読んでいただきありがとうございました。いかがだったでしょうか。データからは高齢化が進むにつれ出生数は減少、またローンなどの金銭的な理由によって出産を控えている可能性もありましたね。一方で沖縄の出生数の多さが他都市に比べて際立っていました。沖縄では、子供を産みやすい環境づくりや対応をおこなっているのでしょうね。これからの日本の発展のために沖縄の対応策を参考に何とか少子化を食い止めたいものですね。

ところで、なぜ沖縄では出生数が高いのか。宮古島に移住してデータだけでなく現地のリアルな実態をレポートしてくれているshimagurashiさんのブログをみつけました。こちらのブログを拝見すると、沖縄にはまだまだ昔ながらの助け合い、子供は宝といった価値観が残っているということがよくわかります。出生率の高さもうなずけます。

沖縄の出生率はなぜ高い?〜移住してわかった意外な理由〜
沖縄移住5年。子育て中のshimagurashiです。 沖縄の出生率は全国でもダントツ。45年連続で全国1位を記録しています。 沖縄はとにかく子だくさんで、兄弟の数が多いです。 沖縄の出生率はなぜ高いのか?沖縄生活5年で実感した理由をまとめ

ありがとうございました。

沖縄の少子化対応についても調べてみようと思います。ほかの都市とは別格でしたね。それっメンソーレ!

コメント

タイトルとURLをコピーしました