- 夫婦仲が不安な方、夫婦円満の秘訣が知りたいという方
- 相関分析に興味がある方
- 大人になっても小学生の夏休みの課題のように統計分析がお好きな方
「離婚。」
だれもが結婚するときには離婚するとは思っていないと思います。出来ることなら避けたいものですよね。しかし結婚生活を続けていると夫や妻の浮気、性格の不一致、金銭的な感覚の違い、子供の教育方針の違い、嫁姑問題など。多かれ少なかれ様々な問題に直面すると思います。そうして、もう一緒には生活を続けていけないと感じはじめ、ついには残念ながら離婚にいたってしまいます。
本記事では政府統計「e-Stat」のデータから、統計的な観点で離婚しにくい家族、離婚しやすい家族の特徴をさぐっていきたいと思います。ちょっとでも、本記事が円満な夫婦生活のお役に立てれば幸いです。それではいってみましょう。
仲の良い夫婦・家庭にはどのような特徴があるでしょうか
仲の良い夫婦・家庭の特徴とは?
- なるべく大きな持ち家に住んでいる
- 住宅ローンが残っている
- 祖父母と同居している
- 納豆をよく食べる
夫婦仲の悪くなる要素とは?
- 家賃、土地代が高い
- 若者が多い地域に住んでいる
- リボ払い、ボーナス一括払いが多い
データの見方
この結果をみてどのように感じるでしょうか。なんとなく、そう言われればそうかも?といった見方や、なんのこっちゃよくわからない、という感じではないでしょうか。この結果は、政府統計「e-Stat」から2015年の家計調査と社会人口統計データにもとづいてExcel、Pythonを用いてデータの相関みて推察をおこなったものです。以下にサイトリンクを付けておきますのでご興味のある方はのぞいてみてください。
(e-Stat 社会、人口統計体系) 2015年

(e-Stat 家計調査) 2015年

あくまでもデータ上の相関関係からの推定したものです。現実に離婚とはそんな単純なものではなく様々な要因が絡まっていることは重々承知の上ではございますが、ひとつの見方としてこんな見方もあるなぁといった気持ちであたたかくみていただくとうれしいです。
離婚データは人口1,000人に対する離婚件数を離婚割合としています。また主要都市部、市区町村の人口データ、家計調査から得られるデータと離婚割合の相関関係を確認してその強弱から、関係性をみています。
相関関係とは?
相関係数は、正と負の方向と-1~1までの強さによって2つのデータ群の関係性をあらわします。相関係数と相関関係の強弱を下表にあらわします。数字が大きいほど関係性が強く、マイナスであれば片方が増えれば、もう一方は減るといった負の相関、プラスであれば片方が増えれば、もう一方も増える正の相関をあらわします。
相関係数 | 相関関係 |
0~0.3未満 | ほぼ無関係 |
0.3~0.5未満 | 非常に弱い相関 |
0.5~0.7未満 | 相関がある |
0.7~0.9未満 | 強い相関 |
0.9以上 | 非常に強い相関 |
それでは、統計的に離婚しにくい、離婚しやすい家族のそれぞれの特徴の詳細をみていきましょう。
仲の良い夫婦・家庭の特徴とは?
負の相関で-0.4以下の項目を集計して、表とヒートマップ化したものです。いずれの項目も-0.5~0.7の範囲にあり「相関がある」といえます。マイナスですので負の相関となりますから、以下の項目が増えると、離婚割合は減るという見方になります。
項 目 | 相関係数 |
平均畳数(持家)【畳】 | -0.63 |
平均畳数(うち住宅ローンを支払っている世帯)【畳】 | -0.57 |
65歳以上無職者人員【人】 | -0.52 |
上下水道料【円】 | -0.52 |
大豆加工品【円】 | -0.56 |
ヒートマップの見方は、右側の色のレンジに従い相関の強弱を色味であらわしています。横軸、縦軸にはそれぞれのデータです。マス目の中の数値は相関係数をあらわしています。
例えば、縦軸の平均畳数(持家)【畳】と横軸の一番右の社会人口離婚割合【組/1000人】の交差点をみると濃いオレンジ色でマスのなかの数値が-0.63となっています。このように各項目の相関関係が視覚的にあらわしたものがヒートマップになります。

なるべく大きな持ち家、住宅ローンがある
下のグラフは左が「平均畳数(持ち家)」と離婚割合の散布図です。相関係数は「-0.63」と比較的高い相関をしめしています。右のグラフが「平均畳数(うち住宅ローンを支払っている世帯)」と離婚割合の散布図です。相関係数は「-0.57」となり左の平均畳数と同じような傾向をしめしています。
【推察】
持ち家があり、畳数が多いほど離婚割合が減少しています。これは、大きな持ち家に住んでいることで心のゆとりが生まれるのでしょうか、「金持ち喧嘩せず」といわれていますが経済的なゆとりも結婚生活には重要な要素なんですね。一方で大きな家なので家族の人数も関係があるかと考えて、世帯人員数と離婚割合の相関を確認してみたところ、「-0.32」と相関はほとんどありませんでした。大家族ほど離婚しにくいということもなさそうですね。
また右のグラフをみてみると、住宅ローンのある持ち家も同様に畳数が多ければ離婚割合が減少します。やはりローンがあると夫婦一丸となって頑張っていかなければならないので、絆が深まるのでしょうね。我が家もローンがある時には一致団結になり共通の敵を何としてでも倒すんだ!という気持ちになりましたね。

祖父母が同居
下のグラフは左が「65歳以上無職者人員」と離婚割合の散布図です。相関係数は「-0.52」。右のグラフが「上下水道料金」と離婚割合の散布図です。相関係数は同じく「-0.52」となります。ちなみに最も高い上下水道料金の都市は「山形市」でした。
【推察】
65歳以上の無職者人員をいわゆる祖父母の同居と解釈しています。祖父母が同居しているほど離婚率が減少しているとみれます。祖父母が同居していることで介護や嫁姑問題もありそうにも思いますがその反面、子育て世代にとっては子供の面倒をみてもらえるというメリットもあります。一概にはいえないと思いますがおじいちゃん、おばあちゃんが家にいるとやはり安心感があるのかもしれませんね。私も子供の面倒をみてくれる人が近くにいると思うと気が楽になります。
また、水道代が高いと離婚率が減少しています。おもしろい結果だと思いますが、頭を悩まします。水道料金は地域により差が大きいので地域差がでています。水道代の高い地域は地域の福祉行政サービスがあまり充実していないのではないかと考えられ、その結果として十分な福祉サービスが受けられず離婚につながっているのではないかと推察します。

納豆をよく食べる

下のグラフは「大豆加工品」と離婚割合の散布図です。相関係数は「-0.56」ちなみに最も大豆加工品をよく購入する都市は「福島市」でした。
【推察】
ここでは、大豆加工品の消費が多いほど離婚の割合が減少しています。見出しには大豆加工品として代表的な商品として「納豆」と書いていますが、その他にもしょうゆ、みそ、お豆腐など、日本人には身近な食材が多くあります。おそらく大豆加工品の消費が多いということはおうちで料理をたくさんする家庭ではないかと推察します。おうちで食べることが多いことで家族のコミュニケーションなども十分はかれているのかもしれませんね。また大豆には「大豆イソフラボン」という成分が含まれており、女性ホルモンの「エストロゲン」(卵胞ホルモン)に似た働きをし、女性の美しさや若々しさを手助けしてくれることも離婚しにくい要因かもしれません。

夫婦仲の悪くなる要素とは?
正の相関で+0.4以上の項目を集計して、表とヒートマップ化したものです。いずれの項目も0.3~0.5未満の範囲で「非常に弱い相関がある」といえます。プラスですので正の相関となりますから、以下の項目が増えると、離婚割合も増えるという見方になります。
項 目 | 相関係数 |
家賃地代【円】 | 0.45 |
社会人口.A161001_未婚者割合(15歳以上人口)【%】 | 0.44 |
実支出以外の支払のその他【円】 | 0.41 |
ヒートマップの見方は、上述の離婚しにくい家族の特徴で説明していますので忘れてしまった方はもう一度確認してみてください。

家賃、土地代が高い
下のグラフは「家賃地代」と離婚割合の散布図です。相関係数は「0.45」ちなみに最も家賃地代の高い都市は「那覇市」でした。
【推察】
ここでは、家賃地代が高いほど離婚の割合が増加しています。家賃や地代が高いとそのほかに回すお金が減ってしまい、生活のゆとりが少なくなってしまうのでしょうか。または借り地であると推察してみると自分の土地や持ち家でないこともあり、精神的に自由な面もあるのかもしれません。

若者が多い都市に住んでいる
下のグラフは「15歳以上の未婚者人口割合」と離婚割合の散布図です。相関係数は「0.44」。ちなみに最も15歳以上の未婚者人口割合の高い都市は「那覇市」でした。
【推察】
未婚割合の高い地域では離婚割合も増えています。好奇心旺盛で刺激を求めやすい若者であれば、自分のやりたいことも多く、結婚にしばられない生き方もありですね。

リボ払い、ボーナス一括払いが多い
下のグラフは「実支出以外の支払いのその他」、いわゆるボーナス一括払いやリボ払いのケースです。それと離婚割合の散布図です。相関係数は「0.41」。ちなみに最も実支出以外の支払いでその他の高い都市は「那覇市」でした。この相関も、那覇市に引っ張られた形で相関係数が高めに出ていますが、那覇市を除けば、それほど相関関係は小さそうですね。
【推察】
ボーナス払いやリボ払いが多い地域は離婚割合が増加しています。お金の切れ目が縁の切れ目という言葉通り、家計に影響を及ぼすような支出は、家庭環境にもよくない影響がでているように思います。
また、ボーナス、リボ払いが多いということは自分の欲望に素直という見方もできますので、自分に正直に生きている証しなのかもしれません。

全国の離婚 都市別、市区町村別 ランキング
つづいて、全国の離婚の状況はどのようになっているのかをランキング形式にしてみてみようと思います。
TOP3は、大阪市、札幌市、那覇市でした。
那覇市に関しては、土地代、15歳以上の未婚者割合、実支出以外の支払いでその他の3つともに最大を示していました。

市区町村別でみると、TOP3は大阪市浪速区、名古屋市中区、沖縄県石垣市。

一方で、離婚の少ない都市は、山形市、新潟市、青森市でした。

市区町村別でみると、山形県山辺市、宮城県松島市、山形県河北町
いずれも東北勢が占めています。

まとめ
- 夫婦にとっての共通の目標があり一致団結すること
- 見守ってくれる存在、例えば祖父母などが近くにいること
- 家庭内での食事を通したコミュニケーションができていること、納豆がおすすめ。
- 資産をきちんと形成できていること、計画的な支出であること
最後まで読んでいただいてありがとうございました。いかがだったでしょうか。夫婦仲良く暮らすためにはお互いの努力はさることながら、家計調査データからみてみると統計的にある要因が関係していそうでしたね。できる事なら離婚は避けたいものですよね。もとは赤の他人であった二人が、何かの縁で一緒になったのですから仲良く、結婚する前の恋愛をしていたころを思い出して、お互いを思いやりながら生活をしたいものです。
ただ、そのようなきれいごとばかりではないのが現実ですので、離婚を決断した方はあらたな自分をとり戻すためにがんばっていきましょう。今回の分析結果が皆さんに少しでもお役に立てられれば幸いです。それでは、今回はこの辺で失礼します。
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