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うなぎの漁獲量と値段の関係からみえてきたうなぎの未来とは?

うなぎの漁獲量と値段の関係からみえてきたうなぎの未来とは?身近な統計
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この記事は、こんな方におすすめです。
  • 美味しいうなぎをこれからも食べたい方
  • うなぎのちょっとした統計的なデータが知りたい方
  • うなぎのこれからが少し気になる方

ご訪問いただきありがとうございます。うなぎ、美味しいですよね~。夏場になるとやっぱり食べたくなっちゃいます。でもちょっと最近値段が高いような気がしています。今回の記事はそのあたりを調べてみましたよ。

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はじめに

ご訪問いただきありがとうございます。本記事では、うなぎの消費量と値段の関係を公式データから把握して、そこから得られる示唆からこれからのうなぎの消費について考察していこうとまとめたものです。日本では江戸時代から伝統的に食べ続けている食材だけに今後のうなぎの生産については気になるところです。個人的にはここ数年うなぎの値段が昔に比べてずっと高くなってきてるなぁと感じていました。このままどんどん値上がりして庶民には手が出せない超高級食材になってしまうかもしれないかと思うと気になって眠れませんね(笑)

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分析のすすめ方

分析のすすめ方は次のようなステップですすめていきます。

  • うなぎのかば焼きってやっぱり高くなってるの?
  • うなぎの生産量ってどうなってるの?
  • みなさん、いつどれだけ食べてるんだろう?
  • 養殖すればいいんじゃぁないの?
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「うなぎのかば焼き」ってやっぱり高くなってるの?

2000年代前半から約2倍の値段に

分析をすすめるうえで、まずは現状を把握しなくてはいけませんね。仮説としては「うなぎのかば焼き」はここ最近値段が上がっている。ということでしたので、本当に値段が上がってきてるのか調べてみました。下のグラフは政府統計e-statによる物価統計による「うなぎのかば焼き」の全国平均の価格です。2000年代前半は600円前後だったのに対して、2014年以降では2倍以上になっていますね。
 やっぱり高くなってました。間違いなく高くなっているのは肌で感じていましたが、これほど急上昇していたとは。いやはや、これからどうなってしまうのか不安になってしまいますね。
 原因は、ニュースなどでよく「うなぎ漁が不漁で...」といった断片的な情報は耳にするものの、スーパーでみかけるうなぎは多くが中国産ばかり。輸入でまかなえているのなら、うなぎ漁の不漁とはあまり関係がないのでは? それならばということで実際の生産量を確認してみました。

政府統計による「うなぎのかば焼き」価格の推移グラフ
出典:e-Stat 小売物価統計調査 小売物価統計調査(動向編) データより 「うなぎのかば焼き」価格の推移グラフ

日本でのうなぎの生産量はどうなってるんだろう?

うなぎの生産量は 1/3に減少 (2000年-2020年)!

うなぎのかば焼きが高くなっているのは生産量が追い付いていないから?輸入量の関係は?と思い国内に流通するうなぎの生産量を確認してみました。下のグラフをご覧ください。2010年から2013年にかけての落ち込みが激しいですが、2015年以降は5万トン前後で安定して推移していますね。これが何を意味しているのでしょうか?

国内のうなぎ生産量の推移グラフ
出典:日本養鰻漁業協同組合連合会データより 国内のうなぎ生産量の推移グラフ

もう少し長いスパンでみてみましょう。1985年からのデータです。すると2000年の16万トンをピークに、ダダ下がりです。これでは、価格も上昇しますよね。(グラフ中の単価は1kg当たりの単価です)

1985年~2019年までのうなぎの生産量と輸入量の推移 日本養鰻漁業協同組合連合会のグラフが出典元。
出典:日本養鰻漁業協同組合連合会 1985年~2019年までのうなぎの生産量と輸入量の推移

グラフでは、日本国内の生産量をみると2000年以降は、2万トン前後推移しており、変動は少ないですね。一方で、中国や台湾の輸入量が1/4~1/5まで減少していますね。では、なぜ中国、台湾の輸入量が減少してしまったのでしょうか。このあたりが値段上昇のカギのようですね。

中国、台湾からの輸入量が減った理由

うなぎの輸入は1973年から始まり、それまで高級品だったうなぎが、庶民の口に入るようになってきました。さらに中国では、ヨーロッパうなぎの養殖が急成長したこともあり、2000年をピークに盛んに日本へ輸出をしてきました。ところが、ヨーロッパうなぎが乱獲等によって急激に減ってきてしまい、ワシントン条約で絶滅の恐れのある野生動物の種の国際取引に関する条約によって2013年に貿易の取引が制限されたことで、2000年代の約1/3の生産となったわけです。

みなさん、いつどれだけのうなぎを食べてるんだろう?

生産量の減少に伴って価格が上昇しているにもかかわらず、やっぱり夏にはうなぎが食べたくなるんですよね。CMやちらし広告でも夏場は必ずと言っていいほどキャンペーンを組んできますよね。では、私を含めた庶民のみなさんはいつ、どれだけのうなぎを食べているんでしょうか。少し調べてみました。下のグラフは2017年-2019年における二人以上の世帯でうなぎのかば焼きの月別支出額をあらわしています。

グラフをみると、7月の土用の丑の日をピークに夏場に消費が上がっていますね。一方で支出額をみると2017/7には1,000円を超えていましたが、2018年7月、2019年7月では900円→800円と減少傾向で年々支出額も下がってきているのも興味深いです。食べたいけれど、値段の上昇にともない買い控えてしまう人が増えてきたのでしょう。食べたいけど高いし、今年はやめとこか~みたいな。

2017年-2019年の月別のうなぎのかば焼きの二人以上の世帯の支出額の推移グラフ
出典:総務省 家計調査(二人以上の世帯)データより 2017年-2019年の月別のうなぎのかば焼きの二人以上の世帯の支出額の推移グラフ

「土用丑の日」といえば なぜ うなぎ?

そもそも、夏場にうなぎの消費が増加しているのは、「土用の丑の日」の影響がものすごーく効いているんですね。なにも夏場だけに限らず食べたくはなりますが、やっぱり「土用の丑の日」は格別な感じがします。この「土用の丑の日」ですが諸説あるようですが、有名な説は江戸の科学者平賀源内が、ひいきにしていたうなぎ屋が夏場に消費が落ちることから何とか助けてやろうじゃないかと、キャンペーンを打ち出したことがきっかけのようです。そのキャンペーンが大当たりして日本全国に土用の丑の日が広まったとのことです。現代まで続いているこんなキャンペーン他にあるでしょうか、平賀源内おそるべしコピーライターですね。

超高級 国内天然うなぎは 減少の一途

高級なうなぎといえば、国産天然うなぎではないでしょうか。まぁ私が口にすることはあまりないかと思いますが、国産天然のうなぎとはどの程度の生産量があるのでしょうか、少し調べてみました。

下のグラフは国内の天然うなぎの漁獲量を示しています。2010年-2020年で約1/4まで減少しています。2020年の全生産量が約5.1万トン、そのうち65トン 全体の0.1%程度です。(*´Д`)やはり高嶺の花ですね。ただでさえ貴重なうなぎですが、天然ものになるともはや食べるのがもったいないくらいです。

国内天然うなぎの漁獲量推移グラフ
出典:日本養鰻漁業協同組合連合会データより 国内天然うなぎの漁獲量推移グラフ

養殖すればいいんじゃないの?

こんなに値段が高いのだったら「養殖」すればいいんじゃないの?と思うのが自然ですよね。そこで養殖事情を調べてみました。その結果、実は国内のうなぎのほとんどが、「養殖」なんです。残りは輸入養殖うなぎに頼っているのが実情です。ということで口にしているほとんどのうなぎは「国産か海外の養殖うなぎ」なんです。ほとんど養殖なのに値段が高い、ワシントン条約にひっかかるとはどういうこと?と思いますよね。そうなんです。実は「養殖」といっても完全な養殖ではないのです。今のところ卵からふ化させてそのまま成長させるような完全な養殖は非常に難しくて市場に出回るまでにはまだまだクリアしなければいけないハードルが多くあるようです。

では、うなぎの養殖はどのようにおこなわれているのでしょうか?それは、シラスウナギと呼ばれるうなぎの稚魚を沿岸で漁獲し、その稚魚を育てて出荷するのです。ですので中国、台湾も同様にヨーロッパうなぎの稚魚の漁獲量にワシントン条約が引っかかってしまっているというわけです。うなぎの養殖は稚魚の漁獲高しだいということなんですね。それでは稚魚の漁獲量の推移をみてみましょう。

下のグラフはその稚魚の採捕量の推移です。1985年以降は20トン前後でしたが2010年以降では20トンに届かないくらいに減少しています。ただ、1960年、70年代はよく捕れていたんですね。

うなぎの稚魚の採捕量の推移グラフ
水産庁からのデータをグラフ化しています うなぎの稚魚の採捕量の推移グラフ

うなぎの完全養殖成功!

とはいえ、卵からの完全養殖ができればうなぎはもっと安くなり消費者に届けられるのにと考えるのが人間です。卵からの完全養殖は研究に研究を重ねている分野でしてうなぎの研究は現在も盛んにおこなわれています。

しかし、うなぎの完全養殖は容易なものではありません。なにせ、うなぎの生態はよく知られていません。どのようにしてふ化させるのか、赤ちゃんは何を食べるのか、ほとんど知られていません。そんな中、とうとう水産庁は2019年に、研究室で人工的にふ化させたうなぎの稚魚を出荷できる大きさになるまで商業用の養殖池で育てるのに成功したと発表しました。

おっ、これでお安く食卓に並ぶ!やったー!

と喜ぶのはまだ少し早いようです。実は「人工稚魚」の価格は天然の10倍!天然さえ口にすることはままならないのに、そのさらに10倍ですよ!んーまだまだ、庶民の口に入るまでにはコスト面の改良が必要なんですね。しかし技術的には完全養殖が完成していますのでもう時間の問題ですね。おいしいうなぎがお手軽価格で食べられる日は近いのではないでしょうか。

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございました。いかがだったでしょうか、うなぎが年々高くなっている実態がつかめたのではないでしょうか。1970年代はうなぎの稚魚がよく捕れていたんですね~、意外でした。2021年現在ではうなぎはまだ高いのですが、今後2030年くらいには現在の養殖のタイやブリと同じようにある程度手の届く存在になっているかもしれませんね。最後に今回のデータ調査からわかったことをまとめて終わりにしたいと思います。

今回のうなぎの調査でわかったこと

・うなぎの価格は2000年代に比べ2020年では約2倍になっている
・うなぎの生産量は2000年に比べ2020年では約1/3になっている
・高くなっても土用の丑の日の7月には大量に売れる
・国内天然うなぎは、超貴重品 生産量全体の0.1%程度
・養殖うなぎは、完全ではない。しかし技術的には完全養殖が可能になった

うなぎの養殖、研究なさっている方ご苦労様です。おいしいうなぎの為にがんばってください!

うなぎ大好きなんだけど、あんまり安くなってしまうと「ありがたみ」みたいなものがなくなってしまいやしないか、違う意味で心配だね~

美味しいうなぎはお得に食べたいですよね~、我が家では毎年ふるさと納税でこの鹿児島県産のうなぎのかば焼きをいただいております。ほかの地域のうなぎもいくつか食べてきました。どれも美味しいのですが、この鹿児島県産は別格でした。とにかく肉厚でふわっとした触感、表面のたれが香ばしくなって口の中いっぱいにうなぎのうまみが広がります。ぜひご賞味ください。

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